
ゲシュタルトとは、部分と全体の双方向関係性とも言われますが、簡単にいうと固定概念のことです。
たとえば、新宿の街を歩いていてある女性を見た時、「かわいい」という人もいれば「綺麗」という人もいます。その女性は、どちらの要素ももっていますが、見る人によって捉え方が違うのです。
子供が恐竜を見て、「怖い」と思うのか「かっこいい」と目をキラキラさせるかはその子によります。
あなたの部屋が白基調で、大好きな洋服が床にいつも散らかっているのなら、それがあなたの「部屋のゲシュタルト」です。ポイントは、2面性を持たずに1度こうだ!と決めてしまうと、固定化されてしまいます。
ということは、新しいゲシュタルトを自分の中で作ることが出来れば、新しい価値観が産まれるということなんですね。
ダウン症の子育てで、悩んで行き詰まっていたり、
逆に子供が新しいことを出来始めて楽しくなっている時でも、どんどん自分の中に違う価値観を取り入れていくことが障害者との付き合い方では重要なことです。
ゲシュタルトを利用すれば、ダウン症の子と
- 新しい遊びを考えたり
- 新しい価値観を知ったり
- 目標を達成出来たり
することが出来ます。忙しい子育ての中でも思考が柔軟になり、生活が何倍にも楽しくなりますよ。
ゲシュタルトとは?
ゲシュタルトとは、心理学の一つで、1900年代の始め頃にドイツで作られました。「全体と部分の双方向の繋がり」を持っていると定義されたりもしています。
たとえば、あなたが住んでいる「部屋」は「お家」の一部ですよね。一方お家も部屋から成り立つものです。部屋とお家みたいな近い関係があると、お互いに統合されて「住むところ」というゲシュタルトが出来上がります。
ただ、そんなに難しく考えなくても、現実的には無意識で認識しているものがあなたのゲシュタルトなのです。
目の前に1mもあるトトロのぬいぐるみがあれば、「トトロのぬいぐるみ」だし、トトロをアニメでみたことがない人にとっては、くまかネズミにでも見えて気持ち悪い思いをするかもしれません。
ゲシュタルトはあなたが認識している単位で、認識をコロコロ変えることは出来ず、一つに固定されます。
ダウン症のゲシュタルトを見直す
ということはダウン症の子育ても、実はあるひと纏まり単位で作り出されています。
たとえば、親の会に入っている人は「親の会のゲシュタルト」が出来ます。親の会は、こういうもので、こういう活動をして、こんな風に子供のためになる。という仕組みが完全に頭の中で出来上がっているのです。
しかし、それはみんな同じではなく、みんな違うのす。親の会のゲシュタルトは人数分存在します。
このように、物だけではなく、存在にもゲシュタルトができます。
ダウン症の育児で、「ダウン症の子は成長できない」と思えば、成長できる面が見えずに「出来ない」にフォーカスします。すると他のダウン症の子も同じグループでくくってしまうので、ダウン症全体が受け入れられなくなります。そしてママ友との会話も減り、余計に生きづらくなるはずです。
しかし、ダウン症の子にも確実に個性があります。
「出来ない」のゲシュタルトを作ってしまうとそんなことにも気づけなくなってしまう。
逆に「ダウン症は笑顔が最高」と思うのは、これまでダウン症の子供達から受けた笑顔の積み重ねがあったからです。いつも泣いてブスっとしている子であればそうは思わなかったはずです。これまでのひとつひとつの部分が全体のイメージを作り上げる。
そして、生まれてからの子育ての積み重ねがもちろんあります。
障害者の親には、ぼぼ全員に不安なゲシュタルトがあるはずです。そうであっても、子供と新しい発見ができるゲシュタルトを作ることで、今ある薄暗いゲシュタルトを変える事が出来るのですね。
新ゲシュタルトをつくるワーク
新しいゲシュタルトを作ることに慣れるために練習しましょう。方法は以下の2点です。
まず、部屋の中からものを2つ選んでくださいそれらを掛け合わせて新しいものにしてください
ダウン症に対してのゲシュタルトなので、たとえば周りを見渡し、壁に掛けてあるカレンダーと子供の水筒を選んでみました。違うものを組み合わせて何ができるのかな?と考えてみます。
私の場合は、壁にカレンダーが掛けてあっても面白くないので、水筒に小さいシール式のカレンダーを貼り付けてあげて、子供が全部飲んだ日には◯印をつけてあげました。
水筒カレンダーです。
子供が水筒に興味を持ってくれて、きちんと水分補給をしてくれるといいなと思います。子供にとってのカレンダーの意味は、日付をチェックすることでなく、お水を飲んだかどうかを確認するゲシュタルトに固定されました。
こんな感じであなたもワークをしてみてくださいね。
幸せなゲシュタルトが膨大にできると、それをひと纏めにしたさらに大きなゲシュタルトが出来ていきます。成功体験なんかもそうですよね、一つ上手くいくと次々と結果が出るようになります。
ゲシュタルトを風船のように大きく膨らまして、ダウン症子育ての新基準を手に入れてくださいね。