
歩行練習で人生のピースを埋めるには?
ダウン症の子といっしょに歩行訓練に取り組んでいる方たくさんいます。
でも、歩行訓練は、楽しいものではなく不安のほうが多い場合もあります。
親もすごく根気がいるものだし、子供によって体の症状や、体型、力の強さも全然違うので一概にどんな歩行訓練がいいとは言えないと思います。
しかし、どんな子でも歩行練習するのに絶対に必要なのは、体のバランスと心のバランスをとる必要をとることです。
さらに言うと、子供と上手に歩行訓練を続けていくには、親の気持ちのバランスを整えておくことが一番大切です。
家族のバランスがうまくいくと歩行訓練も継続して良い結果になっていくでしょう。
目次
子供の歩行練習とは?
健常者向けのの歩行練習は、色々な靴があったり、指導方法がみられます。
しかし、ダウン症の子に上手く当てはまる練習ってあるのでしょうか?
「ダウン症児の赤ちゃん体操」藤田弘子先生著書には、ダウン症の子に向けた方法として、
- ホップ 乳児(歩行前)
- ステップ 幼児(歩行獲得児)
- ジャンプ 児童~
の順番に覚えていくのがいいとされています。
親が歩行前からいっしょに歩く感覚を覚えさせてあげるのですね。
また、足が不自由な人むけ、高齢者のリハビリの方法もあります。ダウン症の子と条件がよくにているので、応用できそうですね。
たとえば、単純な歩行訓練の「前歩き・横歩き・後ろ歩き」に加えて、
二―ベンウォーク、
大股歩行、
ティルティング歩行、
片足重心移動、
片足平衡感覚移動
などの方法もあるそうです。難治性の疾患さんに対する歩行訓練など色々あります。
このように、歩行練習にも色々あるのでその子にあった方法を探してみましょう。
ダウン症の子のバランス感覚ってどうなの?
歩行訓練を取り組む前に、まず体のバランス感覚が大切です。
ダウン症の子は平行感覚の能力が弱いと言われています。これまでの多くの研究がされていて、平行感覚は年齢と共に成長していくようです。
ただ特徴として、健常者より左右の足の動きが、大きく膨らみながら歩く傾向にあります。
つまり真っ直ぐ歩けなくて、少し左右に振られながらあるく形になります。
子供にしてみれば、歩くときにつねに体の揺れがあって非常にバランスが悪く気持ち悪いと思っているかもしれません。
歩くたびにそのようなストレスを感じているとしたらすごくかわいそうです。
足外来の専門家の方に聞いたところ、ダウン症の子の足の裏は、先天的な骨の形状によりアーチが潰れている子が多いようです。そうすると足の付け根あたりにある関節に負荷がかかって、体のバランスを崩す原因となります。
また、平行感覚の弱さの理由として、小脳の未発達もあるというのです。(松崎,198615))
小脳は脊椎ともつながっていて、体中の平行感覚器官とも密接な関係にあります。
これを平衡反射といいます。
小脳が未発達だと、体の姿勢や歩く時のバランスに影響を与える可能性が高いです。もちろんすべてのダウン症の子がそうではないでしょう。実際、マラソン大会に参加する親子もたくさんいます。
それ以外には、筋の緊張が弱いのも特徴的です。
筋が突っ張ってしまい、クッションのように柔軟に左右に振られた時のバランスをとれなくて、大きく足を振ってから反対の足がでてくるので、振り子のような感じになるのです。
両足ではきちんと立っていられるけど、片足立ちが苦手ということは多いのではないでしょうか。
それは膝や体全体のクッション性が弱いのが関係しています。
ミラーニューロンを利用して歩行練習の一歩につなげる方法
子供を自分のことのように考えてみましょう。
歩く時のバランスが悪く、左右に少し振られるとしたらどんな気持ちになるでしょうか。
きっと、気持ちが落ち着かないはずです。
そして、自分の体を上手くコントロールできないのでストレスが溜まりますよね。
子供は楽しく遊んでいる時、とつぜん機嫌が悪くなったことありませんか?
それは、体のバランスが原因かもしれません。
子どもの機嫌が悪いと、親がいっしょに歩行訓練していても、面倒くさくなったり、気分を変えることに頑張ってしまって長続きしません。
ダウン症の子は、健常者と比べて運動時間が少ないのも歩行が遅い原因だと言われています。
よく道端に座り込んでしまう子もいるようです。
でも座り込んだり、イライラしても大丈夫です。
少しづつ進んでいるし、子供が動きを止めた時こそ、子供が感じているイライラを解消させてあげましょう。まずは、思いっきり笑ってあげましょう。
ミラーニューロンという言葉が脳科学にはあります。簡単に言うと、子供が次にとる行動は親の行動を見てから判断する脳の仕組みです。
子どもがイライラしたら、親もイライラするのはミラーニューロンのおかげです。
そのままでは良い方向に行かないので、逆に親は笑う必要があります。
すると、子供はミラーニューロンのおかげで笑おうと本能的に努力し始めるのですね。
そのような行動が歩行訓練の次の一歩に繋がります。
歩行練習前の装具の作り方
他には、足の装具をつくるのも良い手です。
足外来など専門の病院で作ることをお勧めします。なぜなら、OTやPTの先生よりもより専門知識があるからです。出来る装具のレベルも違ってくるでしょう。
足の歩行を改善することで、子供のストレスは確実に減ります。
子供にはストレスの少ない充実した人生を送ってもらうためにも、歩行のストレスを減らしてあげることは大切なことではないでしょうか。
ダウン症の子には21トリソミーの影響は必ずあります。
それは先天的なものなので大きく変えようがありませんし、個人差もあります。
でも、親が歩行に対するマインドを変えると、子供も変わるのですね。
親の心のバランスを崩すのは劣等感
子供の訓練だけでなく、親のマインドも変えていくと上手くいくことが多くなるでしょう。
とくに、他人の子と比べることで劣等感を持つ親もお多いかもしれません。
ただそれは、障害者の子を持つ親だけではありません。
知り合いの子供はサッカースクールに通っていました。その親は、自分の子供が一番になってほしいので一生懸命応援しますよね。
そうすると、周りの子と比べてあなたは、ドリブルが下手だとか、サッカーコーチの言うことを聞けないと成長は無理!といったお説教を並べて子供の能力や存在を否定します。
親は、注意の意味で言った言葉でも、子供本人にとっては事実として受け入れています。
先程のミラーニューロンと同じで、行動だけでなく放った言葉は、そのとおり現実になるのです。子供は純粋に受け入れるのでネガティブなお説教「下手とか無理」といった言葉はそのまま実現する可能性が高い。
親の愛情と言われていますが、そうではありません。
子供が他人と比べて劣っていると、まるで自分も同じレベルで周りから劣っているように感じてしまうのです。
ダウン症の親御さんもそうかんじたことは無いでしょうか?私はあります。
子供と自分は違うことを知って、子供が自分自身で歩くように認めてあげると、早い自立に繋がります。ダウン症の子供でも同じで、周りの子と比較せずに、そして「自分の幼少期」とも比較せずにしましょう。
親が解決出来ない!と思うような悩みでも、まず、子供の限界を受け入れてみましょう。
歩行練習で、少しでも子供にストレスを減らしてあげれる方法を考えるようになれれば、もう何歩も進んだことになりますね。
親が劣等感を消滅させてバランスをとるには?
劣等感を無くすためには、親と子供の責任を分けることです。
どういう事かというと、
親と子それぞれの人生があって、相手の人生を無理やり変えようとしない!という意識を持っておくことです。
自分が出来ることと、子供がすることが明確に分けましょう。
自分に出来ることはやりって、チャレンジしてみることです。子供は出来る範囲でがんばります。親はその結果を褒めてあげれば良いですね。
否定したり怒ったりするのは子供のことが自分ごとになりすぎているのが原因です。
劣等感は、相手のやる部分まで自分がやろうとしてしまいます。
それが上手くいかないと「子どもが歩けないのは自分のせい」と考え始めてしまうのですね。
なので、まず自分が出来ることのみを頑張るを意識してくださいね。
そうすると、気持ちが楽になりますよ。
バランス感覚を作る歩行訓練の方法3つ
私の次男もダウン症ですが6歳でかなりのスピードで走るようになりました。
それでもバランス感覚の問題は常にあります。小さい頃からバランスの訓練で取り入れていたのは、以下のようなものです。
- カニさん歩き
- 恐竜拾い
- ジャンプ
カニさん歩きは、平行移動の感覚を掴むためにしていました。
どれもそうですが、親が楽しく手本を見せることがら始まります。親が恥ずかしがらず公園で、何度も何度も繰り返しお手本を見せてあげましょう。
子供に、一度だけで興味づけできることもありますが、たいていはそうではありません。
地面の360度の広範囲に恐竜フィギアを置いて全部集める遊びもよくしていました。
左右前後の動きを反転して繰り返しさせるためでした。
ジャンプはとくに効果的でした。もちろん、脊椎や体の問題がある子はお医者さんの指導をきちんと聞いてから初めてください。
低いところからでも、着地などのバランスが体験として覚えるし、何より失敗して怪我しないように意識的に着地の時にバランスをとるようになるからです。
訓練は工夫次第で色々考えつくと思います。
次男はこの3つの遊びが大好きでした。あなたのお子さんも数多くアイデアを出して試してみて、子供が大好きなひとつの遊びを発見してみてくださいね。
まとめ
今回は、ダウン症の歩行練習で心も体もバランス感覚を取る必要性についてお話しました。
歩行訓練はダウン症の子供だけではもちろん解決しません。
親のマインドもが大切です。
周りの環境や他の家族などに劣等感があると、訓練が長続き出来ません。
すると、子供は運動しなくなり悪いスパイラルに入ってしまいます。
ミラーニューロンの仕組みを利用して、笑顔を作ってください。子供の歩行でストレスが溜まってしまってはもったいないことです。
歩行のストレスを減らしてあげる事こそが、子供の人生を豊かにする一つの要素ではないでしょうか。
自分の出来る範囲を決めましょう。
あとは子供に楽しんで歩いてもらい結果がどうであろうと、褒めてあげましょう。あなたの劣等感が無くなると、子供のストレスも飛んでいくかもしれません。
歩行トレーニングのアイデアを沢山考えてみると、嬉しい気づきがあるかもしれませんね!